土地を購入する際、測量済みで境界線が明確な土地を選ぶのが理想的ですが、予算や物件の状況によっては、確定測量が行われていない土地を購入せざるを得ないケースもあります。
そのような状況下で、どのようなリスクが潜んでいるのか、そしてそれらリスクを軽減するための対策を検討することは非常に重要です。
今回は、確定測量なしの土地購入で起こりうるリスクとその軽減策について解説します。
確定測量なしの土地購入で起こりうるリスク
境界線の不明確さによる近隣トラブルのリスク
確定測量が行われていない土地では、境界線が明確に定められていないことが多いため、近隣住民との間で境界を巡るトラブルが発生するリスクがあります。
例えば、隣接地との境界線が曖昧なために、フェンスの設置場所や植栽の範囲をめぐって紛争に発展するケースは少なくありません。
このようなトラブルは、時間と費用を浪費するだけでなく、近隣関係の悪化にもつながる可能性があるため、非常に深刻な問題となり得ます。
特に、古くからある土地や、複数の所有者が絡む土地では、境界線が曖昧になっている可能性が高いため、注意が必要です。
境界線に関する古い書類や資料を調査し、必要であれば専門家へ相談することで、トラブル発生のリスクを軽減できます。
予想外の測量費用負担の可能性
確定測量が行われていない土地を購入した場合、所有権移転後に自ら測量を行う必要があります。
この測量費用は、土地の面積や地形の複雑さなどによって大きく変動しますが、数万円から数十万円程度かかる場合もあります。
購入前に測量費用を予算に含めていないと、想定外の支出が発生し、経済的な負担となる可能性があります。
特に、急峻な地形や複雑な形状の土地の場合、測量費用が高額になる傾向があります。
測量費用は、不動産会社や測量業者に事前に見積もりを取ることによって、ある程度の費用感を把握しておくことが大切です。
土地面積の誤差による損失リスク
確定測量なしの土地を購入した場合、登記簿上の面積と実際の面積に誤差が生じる可能性があります。
面積が登記簿よりも小さかった場合、購入価格に見合うだけの土地を取得できていないことになり、損失を被る可能性があります。
逆に、面積が大きかったとしても、必ずしもメリットになるとは限らず、追加の費用負担が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
土地面積の誤差は、売買契約前に測量を行うことで事前に把握することができます。
売買契約後のトラブル発生リスク
確定測量なしの土地の売買契約においては、境界線や面積に関するトラブルが発生するリスクが高まります。
契約締結後に境界紛争が発生した場合、売買契約の解除や損害賠償請求などのトラブルに発展する可能性があります。
そのため、売買契約を締結する前に、境界線や面積について十分な調査を行い、確認することが重要です。
特に、境界線に係るトラブルは、解決に長期間を要することが多いため、契約前に慎重に検討する必要があります。
確定測量なしの土地購入におけるリスク軽減策とは？
確定測量の実施を検討する
確定測量を実施することで、境界線が明確になり、近隣住民とのトラブルや面積に関する誤差のリスクを大幅に軽減することができます。
測量費用はかかりますが、将来的なリスクを考えると、確定測量を実施することは有効な対策となります。
特に、土地の形状が複雑であったり、隣接地との関係が良好でない場合は、測量の実施を強く検討すべきです。
売買契約前に境界確認を行う
売買契約を締結する前に、境界線を現地で確認し、隣接地との関係についても確認しておくことが重要です。
境界標や隣地との関係について、可能な限り詳細な情報を収集し、必要であれば、近隣住民への聞き取り調査を実施することで、より正確な境界確認を行うことができます。
近隣住民へ聞き取り調査を実施する
境界線や土地利用に関する情報を近隣住民から直接聞き取ることで、潜在的な問題を早期に発見し、トラブルを未然に防ぐことができます。
特に古くからその土地に住んでいる住民からは、貴重な情報を得られる可能性があります。
ただし、聞き取り調査はあくまで参考情報であり、確定測量による境界確認が必要なことを忘れてはいけません。
専門家（弁護士土地家屋調査士など）へ相談する
確定測量なしの土地購入は、専門的な知識と経験が必要となるため、弁護士や土地家屋調査士などの専門家に相談することで、リスクを軽減することができます。
専門家は、土地の状況を正確に判断し、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
特に、複雑な問題や紛争が発生した場合には、専門家の助けが必要となるケースが多いです。
まとめ
確定測量が行われていない土地を購入する際には、境界線の不明確さによるトラブル、予想外の測量費用、土地面積の誤差、売買契約後のトラブルなど、様々なリスクが存在します。
これらのリスクを軽減するためには、確定測量の実施、売買契約前の境界確認、近隣住民への聞き取り調査、専門家への相談などが有効な手段となります。
土地購入は高額な買い物であるため、十分な調査と検討を行い、リスクを最小限に抑えることが重要です。